アメリカで働くには

アメリカでの就職について書きます

アメリカのビザ 1

(注:私は法律の専門家ではありません。以下の情報は素人である私の知る限りのものであり、何ら正確性を保障するものではありません。アメリカ入国手続に関しては必ずビザに詳しい弁護士など専門家に相談して下さい)

さて、あなたがアメリカで働くことを決意したとします。渡米して、例えばどこかのファストフード店に行き、アルバイトをすることは可能でしょうか?

アメリカに限らず、世界中の殆どの国に他国民が入国するにはビザが必要です。もちろん日本に日本国籍を持たない人が入国する際も同様です。 ビザは入国する目的、期間によって細分化されており、自分の目的に合ったものを事前に申請し審査を受け取得しなければなりません。 例えばあなたがハワイに1週間観光に行くとすれば、入国の数週間から数ヶ月前からB-2ビザを申請し取得しておく必要があります。

しかし、ただの観光にもこのような煩雑な手続を課すと文化的、経済的な交流の大いなる妨げになってしまいます。そこでアメリカは世界数十ヶ国の国籍保持者に対しビザ免除プログラム(VWP)を設定しており、90日以内の観光もしくは商用目的に限り、ビザの申請なしでの入国を認めています。 この場合、ESTAと呼ばれるシステムに入国数日前に登録するだけで入国が可能となります。幸いにも日本国籍保持者はこの制度を利用できます。 このブログ読者の中にも観光や学会などでこの方法で入国された方がおられるでしょう。

前述の通りVWPの適用範囲は観光もしくは商用に限られています。VWPで入国し就労することは違法です。もし入国審査において、あなたに就労の意図があると審査官が判断した場合、あなたは入国を拒否され出国地に送り返されることになります。

さらに悪いことに、過去の入国拒否の履歴は将来の入国審査にも大きく影響すると言われています。 具体的には一度でも入国を拒否されると

  • その日から5年間はいかなる理由でもアメリカに入国できません
  • 生涯に渡ってビザ免除プログラムの対象外になります。たとえ乗り継ぎや短期の観光でも必ずビザを取得しなければなりません。
  • さらにそのビザ申請も、よほどの理由がない限り審査に落ちるとされています。
  • 運よくビザが発行されても、入国審査の段階で入国拒否される可能性があります。

要は、一度でも入国拒否されたら二度とアメリカに入国できなくなる可能性があります。

VWPで渡米し就労するのは違法です。就労を目的に入国する場合、それに適したビザを事前に取得する必要があります。 そして実はこのビザの要件で、あなたの就ける職種や持つべきスキル、経歴などが大きく規定されています。

次のエントリでそれについて解説しようと思います。

アメリカで働くメリット

日本で働くのに比べて、私の考える利点について書きます。 なお、以下は一般論で平均的に見てどうか、という話であり、個別ケースを取り出して見れば逆の例も存在するでしょう。

また、もちろん自分の見聞きする非常に狭い範囲で主観的にどう感じているかを述べたもので、広い範囲で見れば間違いも含まれているかもしれません。

給料が高い

先日、Googleが人口知能を研究する東大院生に約15万ドル(1800万円)の給与を提示したというニュースが話題になりました。 シリコンバレーではこんなものはニュースになりません。 新卒の給与が十数万ドルを越えるのはGoogleに限らず多くのIT企業で聞く話です。 実際の給料は Glassdoor などが参考になります。ここで書かれている給料はベースサラリーで、ボーナスやストックオプションや福利厚生を足すとさらに何割か高くなります。

ただし、日本に比べ生活費が高く支出も増えることが多いです。 また、円換算での給料は円高になれば安くなります。

ワークライフバランスが良い

ワークライフバランスが重視されている職場が多いです。有給が取れないなんてことはありません。

私生活は仕事より優先されます。いちいち人の勤務時間に目くじらを立てる人なんていません。

例: 子供を保育園に迎えに行くので毎日3時に帰ります

体調が悪くても無理に出社したりしません。特別な理由なく在宅勤務(work from home)するの も普通です。

例: 昨日買ったペットと遊びながら仕事したいので work from home します。

皆仕事は早めに切り上げて帰ります。午後4時過ぎにはいたるところで帰宅のための交通渋滞が発生します。

差別が小さい

男女差別や性的マイノリティ差別、人種差別などをなくそうという強い意識が共有されています。 また、安全でストレスフリーな職場を目指そうという努力が行われています。 怒鳴ったりセクハラなんてもってのほかです。

より大きな労働市場

統計データを調べたことはありませんが、アメリカのほうがソフトウェアエンジニアの市場が大きく、より色々な仕事を探す上で有利と思われます。 またアメリカでのキャリアは他の国、たとえばEU諸国で働く上でもプラスになりそうです。 様々な労働市場で働けるようにしておくことで、地域的な不景気(たとえば日本経済の縮小)でも有利な条件で仕事が選べる可能性が上がります。

デメリット

デメリットとして挙げられることもあります。

解雇の制約が弱い

一般的なアメリカでの雇用契約では、お互いにいつでも理由なく契約を終了できるとされていることが多いです。 自分の周りでクビになった人の話は聞きませんが、正社員の解雇に強い制約のある日本と違い業績やパフォーマンスが理由での解雇があるとされています。 一方でこれは雇用の流動性が高く、転職がしやすいというメリットにもなります。

言語の壁

会社にもよりますが、一般的にはコミュニケーションは英語で取ることになります。 人によってはこれにより仕事のパフォーマンスが下がることもあるでしょう。

日本でのキャリア

日本の大企業で正社員、終身雇用といったキャリアを目指すならアメリカでの就労はそれに不利に働くでしょう。

このブログについて

最近、アメリカでの就労について、主観的に見て不正確で誤解を招く可能性があると思われる情報をしばしば目にするようになりました。

私はシリコンバレーでソフトウェアエンジニアとして働いています。
日本の大学に在籍している、もしくは既に日本で働いている人で、アメリカで働くことに興味がある人向けに、正確で役に立つ情報を伝えたいと思いブログを立ち上げました。

読者としては以下のような人を想定しています。

  • 国籍として日本国籍を保有している。アメリカ国籍を保有していない
  • ソフトウェアエンジニアとして働きたいと思っている
  • アメリカでの就労に興味がある

以上の条件にあてはまらない人にも役に立つ情報があるかもしれませんし、またそういう情報をコメントに投稿していただけるのも歓迎します。